more (astropolis timeshift mix)とその先にあったもの

しかし、わざわざmoreだけでこんな長い話にする必要があるのかと我ながら思うのですが、話を組み立てる流れの中でmoreで始めて、一つ役割を終えた時の説明がしやすかったというちょっとしたループも仕込みたかったので、まぁまだやります。 ついでの宣伝ですが、もう情報解禁して長く経ってるそうですがToy Musical3でmoreTimeshift mixがプレイできるそうで、プレイしてやっていただけると関係者一同喜びます。 なお、僕このPMSの譜面見てないんです。 TM3サイドには第一回の話の話をかいつまんで「この曲ドラムブンブンの曲だから思いっきり振り回せ」と伝えた所、Timeshift mixのロングノートがえげつないことになったという報告だけ受けております。 ……だれか動画あげといてください。僕が喜びます。

というわけでmoreの7つ目の譜面、Timeshift mixとそこで見ていたものがどうなったか、の話です。

……その前に枕の話でも。 moreの歌詞に

Tell me, prodigy. Tell me, maestro. Tell me, shoegazer.

のフレーズがありますが、これは特定の何かへの呼びかけを濁したフリしています。 それぞれProdigyYoji BiomehanikaNUMBER GIRLです。 単純にサブカル崩れのジャリガキだった自分がフロアミュージックに心酔する原因になるテレビでみたPoisonへ、定期的に言ってる"Rapid, but can't stop"が本当にやりたかった形のLook @ the Heaven 2000へ、音楽に関わり合いたくないほどに疲れたあとに僕に火を付けてしまった最後のOMOIDE IN MY HEADへ。 ……青臭い話っすね。 いや、実は4つ目の"Tell me"がこちらにあるんですよ。

僕の中で電子音楽とロックバンドの混じりきらない偏愛をsugizoがアルバム1枚で橋をかけてしまったんです。

僕のBMSの譜面がどうあるべきかの基準は本家の譜面、しかも今から見れば完全にオールドスクールの譜面になります。 その一方で、新しい型に対する抗えない欲求を満たすことも考えねばなりません。 型を守ること、特に15年前からのメッセンジャーを自称して戻る僕が守らねばならない型と 15年の輪の話を投げかけた僕に見えている今の型のハイブリッドとは? 一つの投げかけの中で時間軸を切り貼りした1末に出来たものがTimeshift mixでした。

多くのBMS作者の間で盛り上がってきた話として「BMSに音を止める命令セットが必要か?」という話がありました。 いまはロングノートがある時代、あまり意識されていないかもしれません。 もっとも、今のBMSのロングノートも音を止める「見立て」をしているだけで音を止めているわけではないのですが…… くどい説明をせずとも、現代の音ゲープレイヤーの殆どが音を止める快感をSound Vortexで理解しているでしょう。 この「音止め問題」をロングノートで表現することを今の型、そして「オールドスクール」が守る型……これがTimeshift mixの2つの軸になっています。

最初の譜面はもっとヤケクソな量のロングノートがあったはずなんですが、僕がクリアできないという致命的な欠陥を抱えていたので少しづつ、通常のノートに戻しながら塩梅を調節したのを覚えています。 ゲームとしてスキルを問うような現代っぽいスタイルを僕が真似するのは違うはずです。そう聴こえるように長押ししたくなる所だけそうあれば、自然とオールドスクールの「間」が表現できるはずです。 露骨に表現した部分もあるのですが。7のライドとか完全にRealですからね。2

さて、あまりもったいぶらずに核心です。 後半、ビート側にいるはずの音……まぁ皆詳しいでしょう、Apatchにロングノートを多用しています。 この譜面、最初から意図的にブレイクビーツにロングノートを放り込むことを目的として打ち込まれています。 音楽を作ることにおいて「音を切る」事は「音を出すこと」と対にあります。 正確には対以上なのです。 例えばベースのような楽器を演奏する際、音を止めることで生まれるリズムは譜面がそうであるような1小節16等分のマトリクスより遥かに深いところにあるのです。 その音を切ることで生まれるもの、または音を切らないことによって生まれるものの話をこの譜面に託しました。

この話はもう一度、何の因果か僕が休む直前に現れました。


  1. 名義が同窓会での名義な事、ある程度結果論ですがオールドスクールドラムンベースとなった事……Timeshiftの名には意味が隠れています。

  2. Hyperの動画出てこねぇ…