ridework

シャバに自分の作ったものをお出しする限り、割と早い時点で「やっちまった」と気がつくことはよくある話ですね。 まぁ、5年10年経ってからやっちまったと気がつくのはよくある話。 それどころか、ひどい場合はシャバにお出しする前に完全にやっちまったことに気がついて、しかも修正のしようがない、なんてこともあるわけです。 そんな「やっちまった」話です。

[BMS/'08] AkA-110 - Ridework

Rideworkにしても、元のBe@t PhReAkzにしても呆れるほど単純な構造の曲です。 というより、キックとスネアだけでどこまで濃い曲を作ることが出来るかという好奇心がそもそものテーマで、後々ベースミュージックにはそういう体系が出来ていくんですが、伊藤少年、そんなことは勿論知らないわけです。 で、BMS同窓会の話を持ちかけられて、「この際だから誰も覚えてないやつやっか」というのがBe@t PhReAkzからRideworkへのタスキになっています。

BMS同窓会のBMSの、おそらくstagefileに全部乗ってると思うんですけど……メッセージを残しています。 青臭い意味はもちろんあるのですが、Rideworkに関しては「音楽作るなんてパッと並べて混ぜて終わりやで」という……まーーーいい加減なメッセージを残しています。 いい加減ではあるのですが、Rideworkという曲に関しては実際にそれしかしていないのです。 何もかもは出来ないけど、並べるだけで出来る音楽もあるんです。 ……というところまでがポジティブなメッセージで、この無責任なポジティブさがあちこちで牙を剥きます。

テーマを芳醇にするためには常に隠し味が必要です。 この場合の隠し味は「ゴーストノート」、前にも言ったなこの単語……とにかく、弱い音を使ってビートにメリハリをつけるという試みです。 ビートを、特にこのBoombap型のビートの譜面をノリやすいモノにするには強い軸になる部分と、弱くても軸を支える音が必要なのです。 具体的にAmenでいう「どん/たん」と「すたすた」が必要なのです。 この感じを例えばDrumfunkのような……はたまたヒッポカンパスにおける記憶の断片化と再結合のような形に持っていこうとしています。 結論から言うと、完全な妄想でした。 ほとんど成功していません。 何故強い音と弱い音が譜面として同列に並んでしまったんですか?

譜面としては弱い音は何らかのトリガーはされるべきでも、全て叩かせてはいけなかったんです。 Drumfunkでは器用に「スタッタ」という決まった形を使ってこの強弱を作っています。 勿論横に動く必要がそんなにない5鍵らしさの中のトリックです。 一方、ヒッポカンパスの方はすべてのワンショットに強弱の概念はなさそうです。 きっと役割こそあるのでしょうが、少なくともゴーストノート的な完全な支え役のワンショットはないはずです。 more以降のBMSでこういうキックスネアの形を作る時は「すたすた」の方を積極的にまとまった音として処理していますが、この失敗が教訓なんです。

一方で、流石に1曲の間でキックとスネアしか叩かせないでBMSが成立はずがないのです。 ここで譜面側に回ってきたのはタイトルにもある「ライドシンバル」です。 ……と、曲を作る時点でそういう青写真を抱いていたんです。 じゃあRideworkを初見でやったとして、どこでライドシンバル叩かせてるか正確に分かる人ってどのくらい居るんでしょう? 僕、今でも耳ではわからないです。 せっかくなんで動画化しました。ここで切り替えてるんです。1 なんかもう、大失敗もいいところなんですけど、他に叩ける音全然ないんです。 もっと最初から、この部分を叩かせるためにどうミックスしておけばよいのか考えなかった方が悪いのです。

というわけで、僕の視点ではこれは完全な失敗なんです。 一方でこの譜面、妙に好かれる譜面でもありました。 一般的な評価で言えば僕以外の評価の「妙に惹かれる乱打譜面」という方が正当だと考えています。 この曲に対する評価の殆どの部分において、譜面を作る時点からの僕の評価が至るところで間違えているんです。 なんだか最近差分作ってほしくないだの身勝手言ったんですけど、僕のBMSの過剰な部分を勝手に均さないでくれって言いたかっただけで、必ずしも自分のほうが世間的に評価される譜面が出来るわけじゃないんです。

ちなみに僕のBMSで僕がHyper以下を想定した譜面でクリアランプ付けてないのはRideworkと、そもそもAnother相当の譜面をHyperに持ってくるつもりで居た風神少女だけなんです。


  1. 意図的に対にしているので、両手にキックスネアとライドを完全に分割したクソの塊みたいなDP差分を想定していました。ただの嫌がらせの塊じゃないですかそんなの……実際差分入ってて、あーいう間引き嫌っていつも言うんですけど、あの形のほうが自分が想定した譜面より正しいです。